田代山・帝釈山

田代山・帝釈山

2023/8/27(日)

中学生のころ、社会の授業になると、授業そっちのけで地図帳を開いて眺めていた。交通手段が自転車と鉄道に限られていたあの頃、この「帝釈山地」には一体どうやったら辿り着けるのだろうかと思案し、得体の知れない秘境として一種の憧れがあった。その後、日本には地形的に辿り着くことが困難な本当の「秘境」が存在することは、山という文化と触れあっていくうちに自ずと理解していくのだが、今でも地形図でこのあたりを眺めていると、僅かながら少年の頃の憧れに似た気持ちが思い出される。

さて、前十字靭帯再建手術から4か月と少し経った。お医者様によるとだいぶ経過は順調らしい。術後3か月で軽いハイキングが許可された。僕の中では少し不安があったので、トレーニングを重ね、ある程度目途がついたタイミングで、リハビリで田代山と帝釈山を訪れることにした。かつての秘境をリハビリに使ってしまうのは、なんだか少し寂しい気持ちになったりもする。

ダートの林道を小一時間車で走ると、田代山へ程近い猿倉登山口に着く。登山道はしっかり整備されていて歩きやすい。朝の森を歩いていく。右膝の調子も良さそうだ。
小一時間登ると小さな田代に出た。ここはまだ山頂ではないが、気持ちの良い場所だ。牧歌的な湿原が朝のそよ風に揺れる。晩夏の寂しげな風と、目の前の爽やかな景色のギャップが良い。

森の中を行く
小田代

小田代から20分程度登ると田代山の山頂だ。名前のとおり、山頂は広大な湿原になっている。湿原の向こうに緑の壁のような檜枝岐の山々が見えた。

田代山

田代山の避難小屋で少し休憩して、帝釈山へ向かう。針葉樹林の中を縫って歩いていくと、程なくして帝釈山の山頂だ。残念ながらガスに巻かれていたが、あの頃の地図帳の中の秘境にいるのだと思うとなんだか感慨深い。

帝釈山
針葉樹林のトレイル

栃木県側から雲がもくもくと上がってきていたので、急ぎ気味に登山道を戻る。田代山湿原に戻ると、足元にアキノキリンソウが咲いていることが分かった。山の季節の移ろいは早い。下界はうだるような灼熱でも、山の上は確かに秋の足音が聞こえてくる。

再び田代山湿原

登山口近くまで下ると、若いツキノワグマが一頭、倒木と戯れていた。僕の姿を見て一目散に藪に消えていった。距離が近かったので驚いたが、夏休み明けの挨拶に来たと思うと、なんだかかわいらしい。

ヤマドリと挨拶を交わして林道を車で下る。会津西街道を走っていると、湯西川のあたりで雷雨になった。早く下りてきて正解だったようだ。

ヤマドリ

https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5875169.html

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