南郷スキー場のひめさゆり

2023.6.10(土)

ひめさゆりは本来は「オトメユリ」という名前の植物だが、「ひめさゆり」という別名の方が浸透しているようだ。「オトメユリ」という乙女心丸出しのネーミングより「ひめさゆり」の方が可憐で可愛らしい印象を受けるので、僕みたいなロリコンはおとなしく「ひめさゆり」と呼ばせていただく。

ひめさゆりは日本固有種のユリであり、宮城県南部、福島県、山形県、新潟県の県境地帯で見ることができる。山の分類で言うならば、会越国境や南会津、飯豊・朝日連峰、吾妻連峰の周辺部にしか自生していない大変貴重なユリである。薄ピンク色の可憐な花が特徴で、だいたい梅雨入りあたりから花を咲かせ、夏の訪れを教えてくれる。ちなみに南郷村(現・南会津町)の村の花だったらしい。

僕が昨シーズンよりホームとしている南郷スキー場のゲレンデには、多くのひめさゆりが自生しており、梅雨時になると薄ピンク色のかわいらしい花が一斉にゲレンデを埋め尽くす。右膝のリハビリついでに車を走らせてはるばる南郷まで見に行くことにした。

スキー場のゲレンデに辿り着くには狭い林道をグイグイ登っていく必要があり、できれば小柄な車で来た方が良い。対向車が来ないように念仏を唱えながら運転していたが、来てしまったので頑張ってすれ違った。ゲレンデの脇には数台の車が停まっており、みんな狙いは同じで、スマホを構えてかわいらしいひめさゆりの写真を撮っていた。

ゲレンデは西に向いているので、只見方面へと向かう国道289号線に沿って広がる田園地帯と、雪解けが終わり夏を迎えようという浅草岳を遠くに望むことができる。浅草岳もまた、ひめさゆりの群落がみられる高山植物の楽園だ。

ゲレンデに咲いているのはひめさゆりだけではない。ニッコウキスゲの鮮やかな黄色がこの景色に良きアクセントを加えてくれる。本来、「百合の間に挟まる」行為は断じて許されない行為であるのだが、ニッコウキスゲさんだったら許してあげてもいいかもしれない。

広いゲレンデの下部まで歩いてみた。道端にはアヤメが自生していた。クールな印象を受ける花だが、有毒である。可愛い花には棘がある。綺麗な花には毒がある。こんなことわざがあるが、よく言ったものである。

ひめさゆりの花言葉は「純潔」「私の心の姿」「好奇心の芽生え」「飾らぬ美」らしい。なんとなくこの花からは汚れなきイメージを感じるし、純潔という言葉に結び付けるのは何となく想像がつく。まあ、「私の心の姿」でいえば、「純潔」「好奇心の芽生え」「飾らぬ美」などという幼気な言葉を並べられると、邪な考え方しかできないので、「なんか、エッチだな…」としか考えていないのだが。

まあ実際、私の心の姿というか、原動力と言えば、対象に対する「好奇心の芽生え」であるし、そこに自分の求める「飾らぬ美」があるのならば、それでいいと思っている。その度に心の中にある幾重の「純潔」を散らして生きているのであって、、、

とりあえずググって出てきた花言葉を使ってぎこちない文章を書くのはやめた。僕は修飾された言葉に頼って生きているから、こういうものからは程遠いし、それでも飾らない感情や言葉をいつまでも憧憬する。まあ何が言いたいかって、程よく修飾しながらフワフワ生きていこうと思う。

ということはその時は別に考えてもいなくて、ただ「お花綺麗だったなー」と小学生並みの感想を浮かべながら、湯ノ花温泉に寄って帰途についたのであった。


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