2023/10/14(土)
今回は、南ア・塩見岳へ地形の偵察に行こうかと計画を組んでいたが、天候がイマイチなので東北へと転進することにした。
「深い飯豊、遠い朝日」と言われるが、まあ、その通り遠い。夜も更けた宇都宮駅のロータリーで相方を拾って、東北道をひた走り、日暮沢の駐車場に着いたのは丑三つ時だった。既に多くの車の姿があり、ハイシーズンを感じさせる。車の席を後ろに倒して、少しばかりの仮眠を取る。
明るくなり始めた頃に起床し、眠い目を擦りながら歩き始める。一度歩き始めたなら、穏やかなブナの紅葉と、朝の静寂に包まれる。
時たま開ける樹林の隙間からは月山と村山葉山の姿が拝める。今日は眺めが良さそうだ。
身体を温めながらコツコツ登り、清太岩山のピークに出ると視界が開けた。素晴らしい秋晴れだ。
広々とした稜線に秋が宿る。何処を切り取っても良い景色だ。
行く先の稜線にまっすぐ道が続いている。歩みを進める毎に竜門山のピークが近付いてくる。北の方向を見ると以東岳の峻険な山容が目を引く。
目線を下に向けると、紅葉に燃える森林の中を朗らかに滝が流れ落ちている。地形の綾と豊富な植生が我々を飽きさせることはない。
あの沢はきっと登山大系で思いを馳せた沢だろう。山肌に這い蹲るように流れている。朝日の沢は深い。いつの日か遡行できる日は来るのだろうか…。
竜門山の山頂には標識は無い。強い季節風と豪雪によって形成される、左右非対称な朝日の山容を眺めながら先を行く。心地よいアップダウンをこなして西朝日岳の山頂に立つ。振り返った稜線の先の以東岳は威風堂々だ。
西朝日岳からは標高を1度落とし、大朝日岳に向かってじわじわと標高を上げていく。ここの区間が1番応えた。息が上がりながら大朝日岳の山頂へ。ガスが少しづつ山肌を上がってきた。さあ、下山である。
まずは小朝日岳の基部を目指す。小朝日岳は峻険なルンゼと豪雪地帯特有のスラブに豪華絢爛な紅葉が目を引く山だ。道行く人が皆立ち止まり写真を撮っていた。
小朝日岳を巻いて古寺山を超えるとブナの森林に飛び込む。ブナの樹間を縫いながらハナヌキ峰を進み、そこから一気に標高を落として駐車場へたどり着いた。
前十字靭帯の再建手術後、初めてそれなりの距離を歩いたが、思っていたよりもこなせたので、この冬は行ける山の幅が想像よりも広がりそうだ。
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