平湯 輝山南尾根 テレマークスキー

2022.1.19(水)

もう3年半くらい経ったが、南アルプスのオアシス・熊の平小屋で1ヶ月間住み込みで働いていたとき、大井川の源流を訪れた。南アの雄大な山々に囲まれながら、小屋番さんに「ここが大井川の最初の一滴だよ」と説明を受けていたとき、僕が考えていたことは⁡
⁡「この斜面、スキーで滑ったら面白そうだなあ」⁡
⁡という邪な考えであった。⁡

僕の山スキーへの憧れは、多分そこから始まっている。⁡
⁡⁡
⁡学生の財布にはキツい山スキー装備を揃えるのに2年を要し、コロナで1年の充電期間。もう僕のスキー欲は空を突き抜けてアンドロメダに至っていた。⁡

デビューは「変な山がいい」と決めていた。「お前こんなとこでデビュー戦かよw」みたいなユニークな山で鮮烈なデビューを果たしたかった。会津、頸城、上州、あんまり人が目を付けないエリアを漁りまくり、「ハイグレード山スキー」でここを見つけた。それが輝山である。なんか名前もかっこいいし、マイナーっぽいし、南尾根に関しては初心者向けと書いてあったうえに、平湯の地形を見ながら、ここを始まりの地とするのはなんかRPG的なロマンがあるな、と思い、Tuff氏に同行してもらって突撃した。⁡

平湯トンネルを越えて道の脇に駐車。林道から尾根に取り付け…ない。いきなり急傾斜のシール歩行に手間取って、雪にもがきながらめちゃくちゃ時間を浪費した。⁡Tuff氏はちょっと呆れた表情だ。許してくれ…。30分は浪費しただろうか?

⁡輝山南尾根はブナの綺麗な森林が続き、登っていくといい感じの疎林になる。体力満点のtuff氏はパウダーをゴリゴリ切り裂きながら登っていくが、僕は蟻地獄に落ちた蟻のようにもがきながら進む有り様で、まあ山頂なんて夢の話で、最後の方にようやくシール歩行のコツを掴んだが、「もうよくね?」となって結局200mくらいしか登れなかった。⁡

ドロップすると⁡激パウも激パウ。テレマークスキーの踵の浮く感覚に戸惑い、何度かコケながらも雪質に慣れてきた頃に、左のスキーを雪に埋まった朽ち木に突き刺して急停止し、左膝を痛めた。朽ち木をポールで叩き割って突破し、左膝を庇いながらなんとか林道まで滑り降りた。

⁡「変な山」どころか「変なスキーヤー」となってしまったデビュー戦であるが、山スキーは最高だ。これだけは命を懸けていいから思う存分やってみようと、温泉に入りながら思案するのであった。⁡

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