2022/3/4(金)
目覚まし時計のアラームが鳴り響き、鼻先をくすぐる冷たい空気で目が覚める。カップラーメンをかき込んでハンドルを握り、久手川橋の退避スペースに車を停める。
既に飛騨ナンバーの軽トラが1台停まっており、地元のベテランと思わしきおじさんが先行して行った。そそくさと準備をして、僕も出発する。
まずは久手牧場の斜面を雪崩の誘発に注意を払いながら横断する。雪の状態は良さそうだ。先行して行ったおじさんのトレースを使わせてもらう。国道を隔てて対岸には、1月に山スキーデビューをキメた輝山の斜面が朝日に照らされている。
出発から2時間で夫婦松にたどり着く。平原状になっており、白山方面の展望が良い。いったいどの木が「夫婦松」なのかは分からなかった。
ここから大崩山への尾根に乗る。テレマークスキーでも登りやすい緩斜面が続く。途中何度か乗鞍へ続く林道に出合う。平坦且つほぼ等間隔なので良い休憩ポイントとなる。
途中大崩山から降りてきたおじさんと出会う。「いいパウダーだねぇ」との事だ。たしかに日が照っている割に雪が良い。おじさんの言葉に胸を踊らせる。
黙々と樹林帯のハイクアップを続けていると視界が開け、大崩山に飛び出す。東を見れば四ツ岳、西には白山や奥美濃の山々が連なり、南には乗鞍の個性的な地形が目を引き、北には穂高連峰が堂々と鎮座する。平湯という場所が成す素晴らしい展望台である。
大崩山からもうひと頑張りで猫岳の山頂に立つ。風が強くなってきたので早々に滑走の準備をする。お茶を一口飲んで深呼吸し、滑降開始。四ツ岳を背負いながら、青空に飛び込んでいくような滑走を楽しめる…と行きたいところだが、雪面がクラストしてあまり良くないので慎重に滑る。
そのまま乗鞍の林道に乗り、行きのルートの合流したあたりで、ものすごい勢いで転倒してしまった。足元を確認すると、テレマークスキーのビンディングのフロントケーブルが断裂していた。まだまだ下山地点まで距離があったのでまずいと思ったが、ザックから細引きを取り出してビンディングとブーツを結び付け、シール滑降で対処した。おじさんの言う通り「良い雪」であったが、このアクシデントによりその雪を楽しめることはなかった。
時折ブーツとスキーが外れてしまうので時間を要したが、何とか日没直後に久手牧場の駐車スペースにたどり着く。車内で冷やしておいたコーラをがぶ飲みして生きていることを感じる。
とりあえず寒いので温泉に向かう。平湯の湯でゆでダコになって帰途につく。あぁ、そういえばビンディング壊れちゃったんだった…。貯金を切り崩さねば…。
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