スイス探訪① NARITA~ABU DHABI~ZURICH

2024/5/9(木)~16(木)

① 5/9(木)~10(金) 成田国際空港~アブダビ国際空港~チューリッヒ・クローテン国際空港~ヴィンタートゥール

自らの意思で海外に出たことがない僕にとって、それは青天の霹靂であった。

昨年の9月から、僕のパートナーがスイス・ヴィンタートゥールで1年間の留学をすることになった。初めは向こうの大学の近くに入っていたのだが、途中でシェアハウスに移り住んだようだ。

当然、僕の脳内には彼女にスイスに会いに行こう!という皮算用が常に渦巻いていたわけなのだが、シェアハウスに移り住んだタイミングでスイス旅行について彼女と相談していると、なんとオーナーのご厚意で、タダでシェアハウスに泊めてくれるのだという。こんなん行くしかねえだろ!ということで、まだ2024年になる前から値段比較サイトと睨めっこして、価格が安くなったタイミングでチューリッヒ行きの航空券を入手し、正月からウキウキしながらGWが過ぎていくのを待っていたのである。なお、僕みたいな万年金欠が直行便のフライトなど乗れるわけがないので、中東経由の乗り継ぎ便である。

といっても、僕は自力で日本を出たことがなかった。3歳の頃に両親とハワイに行ったのと(全く記憶にない)、高校2年生の時にイタリアで単身赴任中の父親を訪ねた(家族同伴)のみである。ウキウキと同時に不安もマシマシだったのだが、初めての飛行機での一人旅もなかなか面白かった。国内では無人駅でビバークしながら貧乏旅行していたのに、いざ海外旅行となると戸惑うのもなかなか面白いものだ。まあ、こういう内容の記事も書いてみたかったところなので、ちょうどいい。

前置きはこの辺にしておいて、色々ググってみると、おおよそどのサイトも海外旅行はフライトの2-3時間前に空港に到着しておくべき、とのことだった。初めて海を渡る僕は心配で心臓バクバクだったので、万全を期してフライトの5時間前に成田空港入りした。

ちなみに、前日に宇都宮から東京の実家に移動し、実家からはまず新宿駅に出て、そこからは「成田エクスプレス」に乗車した。金欠のくせになんで特急使ったのかって?僕はスイスでとある遊びに興じるため、荷物がデカかったのだ。デカい荷物を抱えて普通電車で疲弊してから慣れない飛行機に乗るのは不安だった。ここは快適と効率を求めて特急料金を支払ったわけである。

平日の成田エクスプレスの車内は結構ガラガラで、僕が乗っていた車両では、僕以外の乗客は皆外国の方だった。都会のビルで忙しなく働く社畜を見ながらくだらない優越感に浸り、列車は成田へと進んでいく。

そんなこんなで成田空港駅に降り立ったのは12時過ぎだった。とりあえず北ウイングのチェックインカウンターへ向かう。飛行機の出発時刻は17時半だから、5時間半ある。当然、暇なのである。荷物を預けて飯でも食いに行けたらいいのだが、チェックインカウンターは当然まだ開いておらず、デカい荷物を抱えながら2時間程度の暇つぶしをすることとなった。やらかしたが飛行機に乗れなくなるよりマシだろう。

とりあえず荷物をカートに乗せて、せっかくなので音楽を聴きながら北ウイングを散歩することにした。何を聴いていたかって?もちろん、中森明菜の『北ウイング』である。

結局カウンターが開いたのは14時半頃だった。チェックインを待つ列の先頭に並び、荷物を預けて身軽になる。ちなみに某クソデカ荷物は、受託手荷物の規定のサイズを超えているのだが、スポーツ用品の枠になるらしく、合計の重量が受託手荷物の範囲内であれば、追加料金はかからない。しかし、いかんせんクソデカ荷物なので、チェックインカウンターのお姉さんが大型荷物のカウンターに案内してくれて、そこで預けるという流れになった。

成田空港の北ウイングは、チェックインカウンターの上の階にフードコートのようなエリアがあり、うどんのお店が入っていたので、そこでササッと昼食を済ませた。その間にスイスのパートナーと連絡をとって、欲しいもの、飛行機で役立つグッズなどを聞いた。日本のお菓子が食べたいと言うのでコンビニで購入し、無印良品でアイマスクとおやつ用の不揃いバウムを買って、再びチェックインカウンターに戻ってきた。

まだ出発まで1時間半くらいあったが、ゲート内に入って保安検査と出国審査を済ませ、搭乗ゲートの前のベンチで「地球の歩き方」を読みながらやり過ごす。やがてゲートが開いて、いよいよ搭乗となる。

いかにもアラブの美女というようなCAさんにHello!と挨拶した後、荷物を収納し、シートベルトをセットする。席は真ん中で窓の外は見えないが、離陸の瞬間はやはり少し緊張する。飛行機は離陸と着陸の瞬間のみ事故率が跳ね上がるからである。まあ、飛んでしまえばこっちのもので、リラックスタイムに入る。無論、スマホにアニメをいくつかスマホにダウンロードしてきたのだが、ダウンロードしてきたのが『リトルバスターズ!』と『Fate/Zero』で、どっちも作中で乗り物が事故るのでちょっと勘弁して欲しかった(後者に関しては飛行機が墜落するし…)。仕方がないのでお口直しにダウンロードしていた『ひだまりスケッチ』でお茶を濁した。

機内食は魚のフライが入ったカレーを食べた。アラブの航空会社だから辛いのかな?と思ったが、日本発の便だからなのか日本風の味付けだった。自分の英語力が足りないため、CAさんにメニューを3回くらい聞き直してしまった。申し訳ない。

数時間はアニメを見ていたはずだが、いつの間にかウトウト眠っていたようで、不意に目覚めてモニターの地図で現在地をチェックすると、おおよそパキスタンあたりの上空11000mにいた。右脚の裏が攣ったような感覚で少し痛く、ここからアブダビまではあまり寝付けなかった。今思えば、多分エコノミー症候群の前兆のようなものだったのだろう。

成田からおおよそ12時間のフライトでアブダビに降り立つ。身一つで降り立った初めての異国の地だったので、ちょっと興奮した。

着陸前からトイレに行きたくて仕方なかったので、まずはトイレに向かう。トイレは何故かシャワーが付いていて、これは清潔を重んじるイスラム教徒が、用を足したあとにケツの穴を洗うためのものらしい。要するにハイパワーなウォシュレットということだ。使い方をミスると服までびしょ濡れになりそうだったので、僕は使わなかった。

僕が今回の旅行で最も不安だったのは、このアブダビでのトランジットだったのだが、結果的には杞憂だった。飛行機を降りたら「Transfers(乗り換え)」という表示に沿って進む。荷物をトレーに乗せて金属探知機で保安検査を受けたら、エスカレーターの先に大きな電光掲示板があり、そこで自分の航空券と電光掲示板の内容を照らし合わせながら搭乗ゲートを確認するだけだ。保安検査場の先の電光掲示板の前にはアラブの民族衣装を纏った空港係員がいて、チケットを見せるとどこのゲートに向かえばいいか教えてくれる。ゲートの番号やエリアのアルファベットもデカデカと空港内に掲示されているので、迷うことはほぼ無いと言っていい。

むしろ新宿駅や渋谷駅の方がよっぽど攻略難易度が高いのではないかと思う。

保安検査を終えてトランジットエリアに出るとそこは流石世界有数の石油産出国。奇抜なデザインのフロア内に数々のブランドショップが並ぶ。雑貨店のきらびやかな象やラクダの置物がかわいらしい。

もちろん軽食も食べられる。マクドナルドやバーガーキング、スターバックスといった日本でもおなじみの飲食店もあるし、ちょっとしたカフェやちょっと高そうなレストラン、サンドイッチショップもあった。生活用品店もあって、フライトで足りないものも買い足せそうだ。無印良品があったことには驚いた。

アブダビに着いたのは現地時間の0時頃、チューリッヒ行の飛行機は2時50分発だった。あいにく僕は機内食でお腹がいっぱいだし、何より眠かったので、一通り空港内を見て回った後は搭乗ゲート内のフットレスト付きのベンチで少しばかり仮眠した。外国で仮眠を決め込むのはよくないとは分かっていたが、それでもまあ睡魔には勝てない。

出発30分前頃に搭乗手続きが開始となる。さあ、この飛行機に乗れば次はスイスだ。眠いのだが心の中では高揚感が止まらず、この便ではなかなか寝付けなかった。

アニメを観たりしながらも結局ウトウト眠り、80%くらい覚醒した頃にはチューリッヒ到着30分前だった。飛行機にもだいぶ慣れたが、着陸時はやはり緊張した。そして現地時間朝7時30分、ようやくスイスに降り立った。感慨深いが、長い道のりだった。

飛行機を降りてからはまず地下鉄に乗って空港の中心部へ向かう。そこで入国審査を受ける。聞かれたのは「スイスに何しに来たの?」「ひとり?」「どこに泊まるつもり?」といったところだろうか。最後の質問は、僕の英語が拙いせいで、入国審査官のお姉さんに何度か怪訝な顔をされたが、Googleマップでシェアハウスの住所とストリートビューを見せて乗り切った。ありがとうGoogle。

手荷物受取所に向かう。自らの荷物が流れてこなかったらどうしようかとドキドキだったが、ロストバゲージは無く、全ての荷物を回収することができた。これでようやく入国となる。

ターミナルではパートナーが待っていてくれた。既にヴィンタートゥール行のチケットを買ってくれていた。助かる。空港の駅は地下にある。ヨーロッパは列車が定刻に来ないイメージがあったが、スイスの列車は定刻通りに来る。パートナーが言うには、「時計で有名な国だから、プライドがあるんだよ」との事。なるほどね。

2階立ての大きな列車に乗り込む。チューリッヒとは反対方向の列車だからなのか、乗客はまばらだ。僕の大きな荷物を見た向かいの席の男性が、どこから来たのかと尋ねてきた。「I’m from Japan」と答えると、サムズアップしてから、「スイスを楽しんで」と笑ってくれた。良い国だ。

列車は20分でヴィンタートゥールに着いた。シェアハウスまでは徒歩で10分程度だ。たどり着くとパートナーは大学に出かけていった。午後からチューリッヒの街を案内してくれるようだ。時差ボケ解消のためには無理やりにでも起きておくのが良いと知っていたが、あまりにも眠かったので、パートナーが帰ってくるまで昼寝ならぬ朝寝を決め込むことにした。

つづく


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