2021/4/28(水)
山スキーセットを揃えたというのに、この冬は就職活動にかまけて何もしなかった。自分は自分の道を往くのだ、と意識していても、結局社会のレールに乗っていないと無意識に焦ってしまうところがある。周りが忙しなく就活をするなかで、自分だけ山に行くのは、反逆的で格好良いと思っているのだが。
さて、そんな日々を過ごしているうちに、僕がバイトしている某登山用品店で若いムキムキのお兄ちゃんが働き始めた。店長に「一緒に行ってこいよ」と言われ、今日はそんなTuff氏の初沢登りである。
僕も今シーズン初沢だし、ムキムキといえど人生初の沢の人連れてるし…ってことで、昨年夏、猛暑のなか睡眠不足で力尽きて撤退した、大菩薩の大黒茂谷をチョイスした。
泉水谷沿いの林道を1時間歩いて入渓する。薄曇りで気温も低いが、新緑の美しさに元気を貰う。入渓してすぐは巨岩がゴロゴロしている。苔っぽい匂いが漂う。多摩川上流のそれである。
入渓5分で堰堤が出現した。ちなみに睡眠時間2時間で突撃した前回は、この堰堤で萎えてしまい、泉水谷で遊んで帰った。生気のない堰堤のフォルムは何故か人の心を萎ませる。左岸から巻き、崩れやすい足場を懸念して懸垂下降で沢に下りた。
中盤はプチゴルジュに始まる。プチ(30mくらい)である。へつりで突破を試みるも、この水温でドボンはさすがに嫌なので、結局右岸から巻いた。その後は綺麗なナメと、ダラダラしたゴーロ帯が連続する。綺麗なナメ底と新緑に癒され…たいところだったが、この辺で雨が降ってくる。初っ端から雨男発動である。
上流部は苔むした滝が日本庭園のような様相を呈していた。メインディッシュの10m滝で冷水を浴びるとめちゃくちゃ寒い。プチゴルジュの判断は正解だったようだ。クラックにジャミングを決めて身体を乗りあげようとするが、寒くて身体が思うように動かない。最初から無理する気もないし、慎重にクライムダウンした後、左岸を巻くこととした。
低い水温に負けてしまったのか、ふくらはぎをつりながら沢を詰めあげて遡行を終え、稜線に到着するとなぜか晴れ始めた。遡行中だけ雨が降るあたり雨男である。
つった脚を気にしながら林道を下山していると、テンがひょっこり現れた。最後にお天道様は振り向いてくれたようだ。
新緑の山は美しい。今シーズンの幸運を祈って、林道を足早に駆け抜けた。
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