妙義 筆頭岩

2021.12.9(木)

11月から12月はやることが無い。雪山に行くのは中途半端だし、沢登りをするのには寒い。それでもどこにも行かないのは億劫なので、Tuff氏に声をかけると、某山岳会の西上州のボロ岩の記録を漁り始めた。さすがに死ぬのは嫌だったので、僕もゆるめの記録を漁って、結局金鶏山に登り、その後筆頭岩というなかなか字面の良い岩に登ることになった。

眠い目を擦りながら早朝にTuff氏の家まで車で行き、Tuff氏の車で帝国グンマーへと向かう。「高速で行きますか?」と聞かれたが、「岩乾いてない気がするから下でいいと思います」とかいう意味の分からない返答をして、結局下道でダラダラと進む。そして案の定到着が10時を過ぎ、いつの間にか金鶏山の存在は無かったことになっていた。

駐車場から筆頭岩の基部には10分程度でたどり着き、取り付きを1度しか間違えないというなかなか上出来なスタートで登攀開始となった。他の記録では1ピッチ目とされている箇所は、様子を見ながら慎重にフリーで登る。Ⅲ級も無いだろう。妙義にしては岩が安定しているように思う。

1ピッチ目は僕のリードでリッジを快適に進み、25m程度でピッチを切る。風もあまりなく、雲ひとつない晴天で、ぽかぽか暖かい。お昼寝がしたくなる陽気だ。

2ピッチ目はTuff氏のリード。フォローがザックを背負う約束だったのに受け渡しを忘れてさっさと行ってしまったが、余裕の突破力である。フォローの僕は眠いので、「岳人の歌」を口ずさみながら進む。

3ピッチ目はほぼ歩きで、一応ロープを伸ばしながら筆頭岩の頂上へと至る。ゴッツい岩峰に似合わないメルヘンなフォントの山頂標識があり、ひとまず記念撮影をする。カップヌードルが作りたくなるいい感じのスペースで、持ってこなかったことを後悔したし、ヘルメットの推しを眺めてたら眼鏡を奈落の底に落としかけた。きっといつだか眼鏡っ娘はタイプじゃないとか言った報いである。

懸垂は1度10m下のテラスに降り、そこから40mの空中懸垂らしいが、空中懸垂など無かった。ちょっとすっきりしてないルンゼ状の場所を選んで下降したが、拳大くらいの落石が落ちてきて、ここに来て本日初の妙義を味わった。

踏み跡を辿って駐車場に降りて来ると、柔和な顔のオッサンが近付いて来て、「筆頭岩はウェストンが登ったんじゃ」と自慢してきた。日本の近代登山の父は妙義の本体じゃなくてこんなモブ岩峰を選ぶなんて物好きなんじゃのう、と思いながら、帰路につくのであった。


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